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遺伝:ダウン症候群のTc1マウスモデルでは腫瘍血管形成が抑制されている

Nature 465, 7299 doi: 10.1038/nature09106

ダウン症候群(DS)はヒトの第21染色体の完全もしくは部分的なトリソミーによる遺伝病で、多くの臨床症状を示すが、固形腫瘍の発生率が低いこともその1つである。第21染色体(Hsa21)上の遺伝子のおよそ50%の相同遺伝子をもつDSのTs65Dnモデルを用いた最近の研究で、ETS2の3コピーまたはDS候補領域1(DSCR1)遺伝子群(以前から血管形成抑制因子として知られている)だけで腫瘍発育を抑制するのに十分であることが示されている。今回我々は、DSのTc1染色体導入マウスモデルを用い、Hsa21上の遺伝子の余分なコピーの腫瘍血管形成への寄与について調べた。このマウスはHsa21の遺伝子のおよそ81%を発現しているが、ヒトのDSCR1領域は発現していない。我々はTc1マウスにB16F0とルイス肺がん細胞を移植し、これらの腫瘍の増殖が野生型の同腹対照マウスに比べて十分に抑制されることを示した。さらに、Tc1マウスでは、腫瘍血管形成は大幅に抑制されていた。特に、血管内皮増殖因子(VEGF)に対するin vitro並びにin vivoの血管形成反応が抑制された。Tc1マウスのHsa21の区画の遺伝子を調べると、抗血管形成遺伝子と推定されるもの(ADAMTS1およびERG)や新規の内皮細胞特異的な遺伝子でこれまで血管形成に関与していると示されたことがないもの(JAM-BPTTG1IP)で、過剰に発現するとVEGFに対する血管形成反応の抑制の原因になっているものが見つかった。間質区画内のこれら遺伝子の3コピーは腫瘍血管形成を抑制することから、DSでの腫瘍の成長が遅い理由が説明できる。さらに、DSのTc1マウスモデルは、今回我々が示した血管形成の抑制にかかわっている可能性がある候補遺伝子に加えて、広い範囲のがん患者に関連した、これ以外の内皮細胞特異的抗血管形成標的分子を見つけるのに役立つものと期待される。

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