Letter 細胞:プロゲステロンは成体の乳腺幹細胞増殖を誘導する 2010年6月10日 Nature 465, 7299 doi: 10.1038/nature09091 妊娠歴は、年齢、遺伝および乳腺密度に次ぐ乳がんの最大のリスク因子である。乳がんのリスクは、卵巣ホルモンに依存する排卵回数の増加に伴って上昇するが、この傾向が何に基づくのかは不明である。乳腺幹細胞(MaSC)は、上皮基底区画の特殊なニッチ内にあり、局所調節および全身性調節を受けている。発がんに対するMaSCの関与が明らかになってきたことから、MaSCの恒常性における卵巣ホルモンの役割に関する研究が必要とされている。本論文では、マウスで黄体発情間期のプロゲステロン濃度が最大となる期間に、MaSCプールが14倍に増大することを示す。幹細胞に富むCD49fhi細胞の増殖が、発情間期、またはプロゲステロン投与により起こり、プロゲステロンにこの増殖を促進する重要な役割があることを示している。高齢マウスでは、CD49fhi細胞は、生殖周期の停止により静止状態となる。プロゲステロンが引き起こす一連の過程によって、おそらく管腔細胞が基底細胞にWnt4およびRANKLシグナルを出し、次にそれに反応して、その同種の受容体、転写標的および細胞周期マーカーが上方制御される。我々の結果から、生殖周期中に乳腺幹細胞ニッチ内部の成体MaSCを活性化するプロゲステロンの動的な役割が明らかになり、MaSCが、乳がんにつながる細胞形質転換の標的となる可能性が示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る