Letter 光学:アト秒分子光イオン化後の電子局在化 2010年6月10日 Nature 465, 7299 doi: 10.1038/nature09084 化学的変換に伴ってフェムト秒(10−15 s)の時間スケールで起こる原子運動を直接調べることは、数十年前から可能である。しかし、電子の時間スケールで原子や分子の内部の動きを研究することは、孤立アト秒(10−18 s)レーザーパルスが最近開発されて、初めて可能となった。このようなパルスは、原子の光励起や光イオン化、固体の電子ダイナミクスを調べるために使われており、分子では、光励起過程に伴う迅速な電荷再分配や局在化の研究に役立つ可能性がある。最近の研究では、フェムト秒の時間スケールでH2やD2の解離イオン化が観測され、数サイクルの近赤外レーザーパルスを用いて制御された。今回我々は、この研究に基づいて分子のアト秒ポンプ–プローブ実験を行ったことを報告する。すなわち、孤立アト秒紫外パルスと数サイクルの高強度赤外パルスからなる一連の操作によってH2とD2を解離イオン化し、アト秒時間分解能でポンプとプローブパルスの間の遅れに依存する分子内の電子電荷分布の局在化を測定した。局在化は2つの機構で起こり、赤外レーザーが光イオン化や分子イオンの解離に影響を与える。前者では、電荷局在化は、自動イオン化状態、および離れていく電子の波動関数のレーザーによる変化を伴う量子力学的干渉に起因する。後者では、電荷局在化は、分子イオンの異なる電子状態間のレーザー駆動集団移動によって生じる。これらの結果は、電子運動と核運動の結合に起因する複雑な分子動態を通常のボルン・オッペンハイマー近似を超えて調べる強力な手段として、アト秒ポンプ–プローブ手法を確立するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る