Letter 脳:「脳トレーニング」を検証する 2010年6月10日 Nature 465, 7299 doi: 10.1038/nature09042 電子化されたテストに日常的に取り組むことで認知機能が改善されることをうたう「脳トレーニング」は、数百万ポンド規模の一大産業となっているが、我々のみるところでは、その効用を裏付ける科学的証拠はない。高齢者や未就学児を対象としたいくつかの研究では多少の効果が報告されており、また、ビデオゲームをする人たちがしない人たちに比べていくつかの視覚注視課題でよい成績をおさめることも報告されている。しかし、市販されている電子版脳トレーニングプログラムがもっと広範な集団でも認知機能一般を向上させるという、広く信じられている考え方には、実験的根拠がないと我々は考える。重要な問題は、認知テストの成績がトレーニングによって向上するかどうかではなく、当該テストの成績向上がほかの未訓練のテストにも反映されるのかどうか、もしくは認知機能レベルの総体的向上につながるのかどうか、である。今回我々は11,430名の被験者に、推理力や記憶力、計画立案能力、視覚空間認識能、注意力を向上させるべく設計した認知テストを、6週間にわたって毎週数回オンラインで受けてもらった結果を報告する。どの被験者にも、トレーニングを受けた当該認知テストに関しては向上がみられた。しかし、その効果がトレーニングを受けていないテストにも反映されるという証拠は、たとえその課題どうしが認知科学的に密接に関係したものであっても、得られなかった。 Full Text PDF 目次へ戻る