Article 構造生物学:呼吸鎖複合体Iの構造 2010年5月27日 Nature 465, 7297 doi: 10.1038/nature09066 複合体Iは呼吸鎖で最初に働く酵素で、細胞のエネルギー産生に重要な役割をもち、NADHとキノン間の電子伝達とプロトンの転位を共役させているが、その機構は不明である。複合体Iの機能異常は多くのヒト神経変性疾患と関連するとされている。我々は以前に、複合体Iの親水性ドメインの構造を決定した。本論文では、大腸菌(Escherichia coli)複合体Iの膜ドメインのαへリックス構造を、3.9 Åの分解能で報告する。対向輸送体に似たサブユニットであるNuoL/M/Nは、それぞれ14の保存された細胞膜貫通(TM)へリックスをもつ。一部の輸送体でみられるように、このうちの2つは連続していない。意外にも、サブユニットNuoLには110 Åの長さの両親媒性のαへリックスも存在し、これはドメインのほぼ全長にわたって伸びている。また、高度好熱菌であるThermus thermophilusの複合体Iの全体構造を、4.5 Åの分解能で決定した。L型の集合体は、膜ドメインのαへリックスモデルに相当する部分(63個のTMへリックスがある)と、既知の親水性ドメイン構造部分からなる。この複合体の構造は、共役機構に関する強力な手がかりを与える。つまり、主要な2つのドメインの境界でのコンホメーション変化が、NuoLの長い両親媒性αへリックスにピストン様の運動を起こさせ、近傍の非連続なTMへリックスを傾けて、その結果プロトンの転位が起こる。 Full Text PDF 目次へ戻る