Letter 地球:下部マントル鉱物と弱いD″層における拡散に対する第一原理法による拘束条件 2010年5月27日 Nature 465, 7297 doi: 10.1038/nature09052 MgSiO3ポストペロブスカイトは地球の最下部マントルのD″領域に存在すると考えられている。その存在を用いて、D″反射面やD″層内での強い地震波異方性などの多くの地震観測結果が説明されてきた。ポストペロブスカイト内ではイオン拡散によってその粘性が支配され、さらには核とマントルとの間の熱的結合や化学的結合、プリュームの発達、深部化学的貯蔵庫の安定性が支配される。本論文では、地球の下部マントルにみられる条件下でのポストペロブスカイトの絶対拡散速度を、第一原理法を用いて計算した結果を報告する。Mg2+とSi4+のポストペロブスカイトにおける拡散は極めて異方性が高く、速い方向と遅い方向では約8桁異なることがわかった。D″層のポストペロブスカイトが顕著な格子選択配向を示すならば、拡散が速い方向はポストペロブスカイトをペロブスカイトよりも最大で4桁弱くする。弱いポストペロブスカイトの存在は、核マントル境界を通る熱流束を大きく増加させ、地温勾配を変化させる。これによって、長周期ジオイドモデルから要求される最下部マントルで水平方向に変化する粘性の説明も得られる。さらに、非常に弱いポストペロブスカイトの振る舞いから、D″反射面の地震観測とペロブスカイト–ポストペロブスカイト転移の幅が鋭い反射面を生じさせるには大き過ぎることを示す最近の実験結果が両立可能となる。我々は、観測された鋭いD″反射面は地震波異方性の急な変化に起因すると考える。十分な量のペロブスカイトがポストペロブスカイトに変化すると、ポストペロブスカイトは互いに連結し合って、歪みはこのより弱い相へと分配される。この時点で弱いポストペロブスカイトは急速に変形を始め、それによって強い結晶組織が発達する。また、変形したペロブスカイト・ポストペロブスカイト集合体とその上の等方的なペロブスカイト・ポストペロブスカイト集合体との間で予想される地震学的な相違は地震観測と矛盾しないことを示す。 Full Text PDF 目次へ戻る