Letter 免疫:T細胞レパートリーの胸腺選択がHLAクラスIに関連したHIV感染制御に与える影響 2010年5月20日 Nature 465, 7296 doi: 10.1038/nature08997 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者のほとんどは、治療をしなければ最終的にAIDSを発症する。だが、治療しないでもHIV RNAが非常に低レベルに保たれ、そのために病気の進行が遅くなり伝播も起こしにくい感染者(エリートコントローラー)がまれに存在する。エリートコントローラーでは、ある種のHLAクラスI遺伝子座が際立って多く、その中で最も高い関連性がみられるのはHLA-B57である。HLA分子はCD8+ T細胞を活性化するウイルスペプチドを提示するので、エリートコントローラーでHIV制御がうまくいくのは、免疫を介する機序によるものと考えられる。今回我々は、HLA-B57分子のペプチド結合特性が胸腺発生に影響を与え、B57拘束性クローンのナイーブ・レパートリー中では、ほかのHLA拘束性T細胞に比べてウイルスエピトープを認識するものの割合が増え、こうしたT細胞が標的エピトープ変異体に対してより高い交叉反応性をもつようになる仕組みについて報告する。我々の計算では、このようなT細胞レパートリーはHIVの免疫優勢エピトープおよび出現する変異体に強い免疫圧を与え、それによってウイルスの効率よい制御が促進されると予想される。HLAのタイピングを行った患者の大コホートで行った我々の実験で、HLA-B遺伝子座のHIVを制御する相対的能力が、胸腺発生に影響を与えるHLAのペプチド結合性と相関していることが示されたのは、この予想を裏付けている。今回の結果は、さまざまな経験的観察を統合する概念的枠組みとなり、またワクチン戦略に影響を与える。 Full Text PDF 目次へ戻る