Letter 細胞:NLRP3インフラマソームはアテローム発生に必要であり、コレステロール結晶によって活性化される 2010年4月29日 Nature 464, 7293 doi: 10.1038/nature08938 アテローム性動脈硬化の炎症の性質はよくわかっているが、動脈壁の炎症を誘発する因子(群)はほとんど解明されていない。無菌動物にもアテローム性動脈硬化が起こることから、内因性の物質が炎症を開始させることが示唆される。成熟したアテローム性動脈硬化病変には、その壊死性コアにコレステロール結晶の巨視的な沈着物が含まれるが、コレステロール結晶はアテローム発生後期に出現することから、これが最初の炎症誘発刺激になるとは考えられていない。しかし、我々は、新しい顕微鏡技術を用いて、極めて小さなコレステロール結晶が食餌誘導性アテローム性動脈硬化早期病変に存在すること、また、マウスでのその出現は最初の炎症細胞の出現と一致することを明らかにした。ほかの結晶性物質は、カスパーゼ-1活性化NLRP3(NALP3、もしくは、クリオピリン)インフラマソームを刺激し、その結果、インターロイキン(IL)1ファミリーのサイトカインの切断と分泌が引き起こされることで炎症を誘発できる。本論文では、コレステロール結晶が、in vitroの貪食細胞で、ファゴリソソームの損傷を伴う過程でNLRP3インフラマソームを活性化することを示す。同様に、コレステロール結晶を腹腔内に注入すると、急性の炎症が誘発されるが、これは、NLRP3 インフラマソームの構成因子、カテプシンB、カテプシンL、あるいはIL-1分子を欠損するマウスでは低下している。さらに、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)を欠損するマウスに、NLRP3欠損、ASC(別名PYCARD)欠損、あるいはIL-1α/β欠損の骨髄を移植し、高コレステロール食を与えると、早期のアテローム性動脈硬化とインフラマソーム依存的なIL-18レベルが明らかに低下した。最低限の修飾を受けたLDLは、マクロファージにおいて、NLRP3インフラマソームの刺激および活性化と同時に、コレステロールの結晶化を引き起こすことができる。酸化LDLはin vivoでNLRP3インフラマソームを活性化しうるが、我々の結果は、結晶化コレステロールが内因性の危険信号として働き、その動脈などの部位への沈着は、炎症の後期の結果というよりは、早期の原因であることを示している。これらの知見は、アテローム性動脈硬化の発症機序に新しい手がかりをもたらし、この疾患の治療のための新しい分子標的と考えられるものを提示している。 Full Text PDF 目次へ戻る