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進化:花粉側自家不和合性遺伝子の変異によるシロイヌナズナの自家和合性の進化

Nature 464, 7293 doi: 10.1038/nature08927

ダーウィンの先駆的研究以来、自家受粉(自殖)の進化は、顕花植物に極めて広くみられる進化的変化の1つと考えられてきた。自家不和合性(SI)認識システムは、自殖を防ぐ主要な仕組みであり、S遺伝子座に存在する雄側(花粉)および雌側(雌ずい)の特異性遺伝子、すなわち自家不和合性遺伝子、およびSI変更遺伝子によって構成されている。自殖に有利な条件下では、花粉側の認識因子を無力化する変異は、雌ずい側の因子を無力化する変異に対して相対的に有利だと考えられている。これは、花粉側の変異が花粉および種子の双方を介して広がるのに対し、雌ずい側の変異は種子を介してのみ広がるためである。主として自殖を行う植物シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)のSI喪失の遺伝的基盤に関しては多くの研究が行われているが、自殖の原因が雌ずい側自家不和合性遺伝子(S受容体キナーゼ、SRK)、花粉側自家不和合性遺伝子(S遺伝子座システインリッチタンパク質、SCR;別名S遺伝子座タンパク質11、SP11)、および変更遺伝子のいずれの変異であったのか、またそのいずれかが地理的に広い範囲で頻度を高めたのかに関しては、依然として明らかにされていない。今回我々は、SCR遺伝子の機能を破壊する213塩基対(bp)の逆位(またはSCR-A全体およびSRK-Aの大部分にわたる欠失をもつその派生的ハプロタイプ)がヨーロッパ系アクセションの95%に認められ、それがヨーロッパ産シロイヌナズナのゲノム全体の多型パターンと対照的であることを明らかにした。花粉親としてハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri)を用いた種間交配により、Wei-1などシロイヌナズナアクセションの一部では雌ずいのSI反応が維持されていることがわかったことは重要であり、SRKを含むすべての雌ずい側因子が機能を維持していることが示唆された。さらに、SCRの213 bpの逆位を反転させて組み換えWei-1植物に発現させると、機能性のSCRがSI反応を回復させた。SCR内の逆位は、SIを喪失する変異として地理的に広範なアクセションでほぼ定着していることが初めて示されたものであり、その広がりは、花粉側因子の変異の進化的有利性に関する理論的予測に沿うものである。

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