Letter 地球:土壌から海に至る間の有機炭素と硝酸塩の関係の化学量論的制御 2010年4月22日 Nature 464, 7292 doi: 10.1038/nature08985 化学肥料の生産、化石燃料の使用や世界に広がる豆類農業生産は、産業革命以来、自然環境における反応性窒素の量を一桁増加させた。窒素循環のこの再構成は、食料生産の増加をもたらしたが、多くの環境問題を引き起こしつつある。このような問題の1つは、淡水生態系と沿岸海洋生態系の両方への硝酸塩の蓄積である。本論文では、土壌から淡水系と沿岸縁辺を経て外洋に至る水文学的連続体に沿って、生態系における硝酸塩の自然増加と有機炭素の利用可能度との間に、非線型の逆相関が一貫してみられることを立証する。人間による改変を大きく受けている生態系でもこの傾向は広くみられる。このようなさまざまな環境の至るところで、溶存有機炭素と硝酸塩の循環を結びつける一連の微生物過程の調節によって、資源の化学量論的性質(有機炭素:硝酸塩)が硝酸塩の蓄積に強く影響を与えている証拠が見つかっている。メタ分析を用いて、従属栄養微生物は、有機炭素:硝酸塩比が微生物の同化作用の化学量論的要求に適合していれば、低い硝酸塩濃度を維持することを示す。しかし、資源の比が微生物のバイオマスの最小炭素:窒素比を下回ると、炭素制限が始まり硝酸塩の急速な自然増加が起こると思われ、これは次に硝化作用によってさらに増加する可能性がある。有機炭素:硝酸塩比が低い場合には、有機炭素と硝酸塩の利用可能度がこの異化過程の1:1という化学量論的値に近づくと、脱窒素作用が硝酸塩の増加を抑制すると思われる。まとめると、これらの微生物過程は、硝酸塩の自然増加のもととなる閾値の比を制約された化学量論の範囲に制限することによって、局地的スケールから全球スケールで現れる。今回の知見は、生態学的化学量論が、さまざまな環境にわたって存在し、人為的干渉に直面している硝酸塩の運命を説明するのに役立つ可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る