Letter 細胞:リステリア菌は効率よい感染のためにSUMO化を阻害する 2010年4月22日 Nature 464, 7292 doi: 10.1038/nature08963 病原性細菌は、感染の際にさまざまな方法で宿主細胞を操作し、それによって自己の複製や増殖、宿主の免疫応答からの回避を可能にしている。細胞にとって、翻訳後修飾は重要なタンパク質の活性やその相互作用をすばやくかつ局所的に、また特異的に調節できる独特の方法である。リン酸化やユビキチン化などの翻訳後修飾の一部は、病原体によって誘導されることもある。しかし、真核細胞の重要な翻訳後修飾の1つであるSUMO化に病原菌が及ぼす作用についてはほとんど解明されていない。今回我々は、リステリア菌(Listeria monocytogenes)感染が、細胞のSUMO化タンパク質の減少に結びつくことを明らかにする。この減少を引き起こすのはリステリア菌の毒性因子リステリオライシンO(LLO)で、これがSUMO化装置の重要な酵素Ubc9のプロテアソームに依存しない分解と、一部のSUMO化タンパク質のプロテアソームに依存する分解を引き起こす。Ubc9に対するLLOの作用はLLOの孔形成能力に依存しており、パーフリンゴライシンO(PFO)、ニューモライシン(PLY)のようなほかの細菌の孔形成毒素にも、このUbc9に対する作用がみられた。またUbc9の分解は、感染マウスでin vivoでも観察された。さらに、SUMOを過剰に発現させると細菌感染が抑えられることもわかった。まとめるとこれらの結果は、リステリア菌は感染に不可欠なタンパク質のSUMO化レベルを低下させることによって、宿主の防御応答を弱めることを示しており、おそらくほかの病原性細菌でも同様であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る