Letter 細胞:繊毛形成と繊毛長の調節因子の機能的ゲノムスクリーニング 2010年4月15日 Nature 464, 7291 doi: 10.1038/nature08895 一次繊毛は進化の過程でよく保存されている細胞小器官で、多様なシグナル伝達系を構成している。一次繊毛の形成や機能の異常は、ヒトのさまざまな病気や発生異常に関係する。モデル生物での遺伝的スクリーニングにより、繊毛の構築と維持の中心となる装置が見つかっている。しかし、一次繊毛の形成をほかの細胞過程、例えば細胞骨格形成や小胞輸送、細胞間接着などと協調させている調節分子については明らかになっていない。本論文では、繊毛形成の制御にかかわるヒト遺伝子を同定するために、RNA干渉(RNAi)を使って機能的ゲノムスクリーニングを行った結果について報告する。スクリーニングによって、繊毛形成の正の調節因子36個、負の調節因子13個が見つかり、その中にはアクチンの動態や小胞輸送にかかわる分子が含まれている。さらに調べたところ、アクチン集合を阻害すると、これまで知られていなかったpericentrosomal preciliary compartment(PPC)という構造の安定化によって、繊毛形成が促進されることが明らかになった。PPCは小胞小管状の構造で、繊毛形成の初期段階に繊毛へ運ばれる膜貫通タンパク質を貯蔵している。PPCはリサイクリングエンドソームのマーカーによって標識され、またエンドサイトーシスのリサイクリング経路にかかわる調節因子をノックダウンすると、PPCの形成だけでなく繊毛形成も影響を受けた。これらの結果は、アクチンの動態とエンドサイトーシスによるリサイクリングを繊毛形成と結びつける重要な調節過程を明らかにし、また、これからの研究対象とすべき分子群を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る