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進化:雄性妊娠の進化にみる交尾後の性選択および性的対立

Nature 464, 7287 doi: 10.1038/nature08861

タツノオトシゴやヨウジウオ、シードラゴンなど、ヨウジウオ科の魚類に認められる雄性妊娠(male pregnancy)は、この仲間の魚類の行動および形態の進化を形作った奇抜な生殖適応の1つである。ヨウジウオ科の種の多くは、雄が特殊な嚢の内部で卵をかえすが、これは、雄による卵の世話を容易にするために進化したものと考えられる。しかし、これまで調べられていないが、育児嚢の進化は部分的に親子または雌雄間の対立によって形作られた可能性もあり、こうした対立があれば進行中の妊娠とその後の妊娠の間にトレードオフ関係が生じると考えられる。本論文に示す制御された繁殖実験では、性的二形をもつガルフパイプフィッシュ(Syngnathus scovelli)を用い、一腹の卵の中での交尾後の性選択、および雌の魅力の関数としての雄の連続的妊娠の間のトレードオフを検討した。1回の妊娠での卵の生存率に影響を与えたのは、雄の配偶相手の大きさ、雄に渡された卵の数、および雄の性的反応性であった。重要なことに、進行中の妊娠における胚の生存率は、前回の妊娠の生存率と逆相関していることもわかり、妊娠間の適応度トレードオフが明確に示された。総合すると、今回のデータは、ガルフパイプフィッシュで交尾後の性選択および性的対立が生じていることを示している。この対立には、魅力的でない雌との間の妊娠では雄が卵の中絶率を上昇させ、以後の生殖機会のための資源を確保するという、隠れた選択の戦略が関与しているとみられる。したがって、ヨウジウオ科魚類の雄の育児嚢は、卵を育てるものではあるが、雌雄間の対立の裁定役としての重要な役割も担っていると考えられる。

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