Letter 細胞:クアドルプレットを解読するリボソームの進化を介した、複数の非天然型アミノ酸のコード化 2010年3月18日 Nature 464, 7287 doi: 10.1038/nature08817 変更を加えたアミノ酸をin vivoで遺伝的にプログラムして取り込ませれば、分子レベルの精度でタンパク質の性質を目的に合わせて変えられる。メタン生成古細菌Methanococcus jannaschiiのチロシルtRNAシンテターゼ–tRNACUA(MjTyrRS–tRNACUA)と、同じくメタン生成古細菌Methanosarcina barkeriのピロリジルtRNAシンテターゼ–tRNACUA(MbPylRS–tRNACUA)という直交性(ほかのアミノアシルtRNAシンテターゼやtRNAなどとは反応しない性質)のシンテターゼ–tRNA対は、大腸菌のアンバーコドンに対応して、さまざまな非天然型アミノ酸を取り込むように進化している。しかし、普遍的な遺伝暗号ではプロテオーム合成のコード化にすべてのトリプレットコドンが使われているため、人工的な遺伝暗号の拡張の可能性には一般に限界があり、1回に1種類の非天然型アミノ酸が低い効率で取り込まれるだけである。さまざまな異なる非天然型アミノ酸をタンパク質に効率よく取り込まれるようにコード化するには、対応するアミノ酸の決まっていないブランク(空白状態の)のコドンと、非天然型アミノ酸を認識し、新しいコドンを解読する直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼ–tRNA対が必要である。今回我々は、一連のクアドルプレット(塩基4個からなるコドン)とアンバーコドンを効率よく解読できる直交性リボソーム(ribo-Q1)を人工的に進化させ、これが特異的に翻訳する直交性メッセンジャーRNA上にいくつかのブランクコドンを作り出した。相互に直交性のアミノアシルtRNAシンテターゼ–tRNA対を作り、これをribo-Q1と組み合わせて、直交性mRNA上の新しいブランクコドンのうちの2個に対応して異なった非天然型アミノ酸を取り込むようにした。この暗号を使うことにより、アジドやアルキンを含むアミノ酸のバイオ直交型(bio-orthogonal)付加環化によって、特異的な酸化還元非感受性のナノスケールタンパク質架橋を遺伝的に直接導入した。ここで使われたシンテターゼ–tRNA対は、非常に多数の非天然型アミノ酸を取り込むように既に進化しているので、この方法をとれば、200種類以上の非天然型アミノ酸の組み合わせのコード化が可能である。ribo-Q1は一連のクアドルプレットコドンを独立して解読するため、今回の研究は、非天然型高分子の細胞での遺伝コード化による合成や人工的進化を行う基本的な技術を提供すると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る