Letter 医学:Mad2に誘導される染色体不安定性はがん遺伝子遮断後の肺がんの再発を引き起こす 2010年3月18日 Nature 464, 7287 doi: 10.1038/nature08803 発がんにかかわるがん遺伝子の抑制によって、腫瘍細胞が大量に死ぬことがよくあり、この現象はがん遺伝子依存(oncogene addiction)として知られる。そこで、がん遺伝子を特異的に標的として抑制する化合物が、抗がん剤として探索されている。しかし、固形がんに多くみられる特徴である、有糸分裂チェックポイント経路脱調節の結果として生じる染色体不安定性が、がん遺伝子依存に影響するかについては、体系的な探索は行われていない。本研究では、マウスにおいて有糸分裂チェックポイント遺伝子Mad2遺伝子の過剰発現により誘導された染色体不安定性は、Krasにより生じさせた肺がんで、Kras抑制によって起こる腫瘍退縮に影響しないことを明らかにする。しかし、一過的なMad2の過剰発現と、その結果生じる染色体不安定性を経た腫瘍は、その再発率が顕著に上昇する。再発した腫瘍では、高度な異数性がみられ、増殖促進性経路の多様な活性化が起きている。したがって、初期の染色体不安定性は、一見効果があった抗がん治療後のがん再発の原因と思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る