Letter 医学:マウス9p21上の非コード冠動脈疾患リスク区間の選択的欠失 2010年3月18日 Nature 464, 7287 doi: 10.1038/nature08801 世界の死因の首位を占める冠動脈疾患(CAD)のリスクは、染色体9p21上の58キロベース(kb)区間の塩基配列多型によって、著しく上昇する。白人の4分の1近くがこのリスク対立遺伝子をホモでもつことから、CADや生命にかかわるその他の血管疾患の疫学には、この変異がかなり影響を及ぼしている。しかし、このリスク領域にはタンパク質コード遺伝子が存在しないことから、この区間とCADリスクを関連付ける機序はこれまで不明であった。今回我々は、マウス第4染色体上のオルソログの関係にある70 kbの非コード領域の欠失が、隣接する遺伝子の心臓での発現や、血管細胞の増殖特性に影響を及ぼすことを示す。chr4Δ70kb/Δ70kbマウスは、生存可能ではあるが、成長過程および成体での死亡率が上昇する。chr4Δ70kb/Δ70kbマウスでは、非コード区間に隣接する2つの遺伝子Cdkn2aおよびCdkn2bの、心臓での発現が著しく低下している。このことは、非コードCADリスク区間に、遠隔作用性の遺伝子調節的機能があることを示している。ヘテロ接合体マウスにおけるCdkn2b転写物の対立遺伝子特異的な発現は、この欠失がcis作用性機序によって発現に影響を及ぼすことを示している。chr4Δ70kb/Δ70kbの大動脈平滑筋細胞の初代培養は、CAD発症を促進する細胞表現型と同じ過剰増殖および老化遅延を示した。今回の結果は、CADリスク区間が心臓でのCdkn2a/bの発現の調節に極めて重要な役割を果たすことを直接示す証拠となるものであり、この領域が血管細胞増殖の動態を変化させることで、CAD進行に影響を与えていることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る