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幹細胞:Tbx3は誘導多能性幹細胞の生殖細胞系列分化能を向上させる

Nature 463, 7284 doi: 10.1038/nature08735

誘導多能性幹(iPS)細胞は、特定因子を体細胞に導入することによって作製できる。Oct4(Pou5f1としても知られる)、Sox2、Klf4(我々はOSKと命名)は、マウスの胚性繊維芽細胞からのiPS細胞を作製するうえで必要最低限の組み合わせである。網羅的な遺伝子発現解析の結果から、iPS細胞は胚性幹細胞(ESC)に類似すると考えられる。しかし、四倍体胚補完法を用いて作製されたiPS細胞について、キメラ化、胚組織のコロニー形成、さらに最も重要な生殖系列への伝承、および生命誕生への寄与能とその効率を検証した研究はほとんどない。今回我々は、多能性並びに融合を介した体細胞の再プログラム化で働くESC遺伝子のゲノム解析を行い、転写因子Tbx3がiPS細胞の質を著しく向上させることを示す。OSKおよびTbx3(OSKT)を導入して作製されたiPS細胞は、生殖腺への生殖細胞の寄与能、並びに生殖系列への生殖系列への伝承頻度の双方において優れている。しかし、網羅的な遺伝子発現プロファイリングでは、OSK導入iPS細胞とOSKT導入iPS細胞を識別することは不可能であった。ESCのTbx3結合部位のゲノム全域にわたるクロマチン免疫沈降配列決定解析では、Tbx3は下流に存在する多くの共通した制御標的をOct4、Sox2、NanogおよびSmad1と共有するだけでなく、多能性や再プログラム化に関連する因子を制御することが示唆される。本研究は、異なる方法で作製されたiPS細胞間の質の相違を強調し、in vitroよりも進んだ研究で、iPS細胞の特徴を明確にする必要性をはっきり示している。

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