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地球:逆さまの分化と「始原的」下部マントルの生成

Nature 463, 7283 doi: 10.1038/nature08824

マントルの大部分が融解した地球史の最初の5,000万年から1億年ごろを除けば、地球のケイ酸塩マントルの分化は固体の対流により支配されている。マントルは、上昇して固相線をまたいで減圧されると部分的に融解する。このような密度の低いメルトは地表まで上昇し、大陸と海洋の地殻を形成して、地球のケイ酸塩部分の分化をもたらす。希ガスに加えて、発熱源となるUやTh、Kなどの微量元素の多くは選択的にメルトに分配される(ここでは液相濃集元素とよぶ)。このため、これらの元素はメルトの抽出で地殻(希ガスの場合は大気)に集まり、地球全体での収支のほぼ半分が地殻に存在する。対照的に、太洋中央海嶺玄武岩の試料からわかるように、上部マントルは液相濃集元素が枯渇しており、地殻との相補的な関係が示唆される。質量平衡の論点からすれば、これら液相濃集元素の残り半分は地球内部に隠されているはずである。この隠れた貯蔵庫の起源については数多くの仮説が存在する。最も広く支持されている説は、この隠れた貯蔵庫が融解も脱ガスもこうむっていない始原的な物質であるとするものである。本論文では、地球初期の10億年間における全マントル対流の必然的な副産物は深部で起きる高温での融解であり、その結果、密度の高い液体が生成されて結晶化し、下部マントルへと沈み込んだことを示す。この沈んだ岩石の性質は、非始原的な起源にもかかわらず、「始原的な」化学的特徴をもっていたと考えられる。

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