Letter 細胞:Ca2+チャネルのカルモジュリンとの連動性に対する酵素阻害物質様の調整 2010年2月18日 Nature 463, 7283 doi: 10.1038/nature08766 Ca2+チャネルとカルモジュリン(CaM)は、2つのよく知られたシグナル伝達中枢であり、心臓の興奮性、シナプス可塑性や遺伝子転写などの多様な機能に相乗的な影響を及ぼす。したがって、CaV1–2 Ca2+チャネルの開口が、チャネルに恒常的に結合している1つのCaM分子により調節されるように、この2つの伝達中枢が何らかの形で協調されていると考えることは理にかなっている。チャネルのカルボキシ末端にあるイソロイシン–グルタミン酸(IQ)ドメインには、Ca2+非結合型CaM(アポCaM)があらかじめ結合しており、この「常在する」CaMにCa2+が結合することでコンホメーション変化が起きて、それがチャネルの開口調節を引き起こす。チャネルとCaMを協調させるもう1つの方法として考えられるのは、あらかじめ結合しているCaMのないチャネルでのCa2+調節の欠如から協調が生じるというものである。この場合、CaM濃度の自然変動は調節可能なチャネルの割合に影響を与え、これによりCa2+フィードバックの全体的強度にも影響するかもしれない。しかし一般的には、アポCaMに対するチャネルの親和性は極めて強いためにチャネルはCaMで飽和しており、Ca2+チャネルとCaMの間の関係は濃度非依存的であると考えられている。今回我々は、チャネル調節の特性を明らかにする電気生理学的測定と、生細胞中の遊離のアポCaM濃度を決定する光学的蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)を組み合わせることにより、このような自律性には重要な例外があることを示す。ここで使われた手法は、CaMの定量的な生化学研究を、従来のような試験管中での検証から、無傷細胞内で機能しているホロチャネルについて調べる方法へと転換するものである。この方法により、CaV1.3とCaV1.4チャネルの長いスプライシング型には酵素の競合的阻害物質に似た遠位カルボキシ尾部があり、これがアポCaMに対するチャネルの親和性を再調整して、自然に起こるCaM濃度の変動がCa2+フィードバック調節の強度に影響するようになる。このようなチャネルは広く分布するので、チャネル周囲のCaM濃度とチャネルを介するCa2+流入との間の連携は、Ca2+恒常性にとって広く重要となる。我々が今回採用した手法は、Ca2+チャネルのようにin vitroでの再構築が困難なシグナル伝達分子のin situ解析に重要な進展をもたらすと考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る