Letter 動物生理:コウモリの喉頭部を用いた反響定位を示す骨の連結 2010年2月18日 Nature 463, 7283 doi: 10.1038/nature08737 反響定位とは能動的な定位の一種であり、動物は音を発してその反響を聞き、周囲の像を脳内に形成する。反響定位といえば、一般にはコウモリが連想されるが、必ずしもすべてのコウモリの特徴というわけではない。反響定位を行うコウモリの多くは喉頭部でシグナルを発するが、反響定位を行わない種が大半を占める1つの科(オオコウモリ科)には、舌打ちで生ずる反響定位音を使う種が少数存在する。今回我々は、26種(n = 35、液浸標本コウモリ)を対象としたマイクロCTスキャンから得られたデータを用いて、喉頭部で反響定位音を出すコウモリとそれ以外のすべてのコウモリ(すなわち、反響定位を行わないオオコウモリ類および舌打ちで反響定位を行うオオコウモリ類)とが、茎突舌骨(哺乳類の舌骨装置の一部)と鼓室小骨との近位関節の状態から常に識別できることを明らかにする。喉頭部で反響定位音を出すコウモリでは、茎突舌骨の近位末端部が鼓室小骨と関節で直接つながっており、融合している場合も多い。知られているかぎりで最古の化石コウモリ(Onychonycteris finneyi)は、茎突舌骨の形態に関する過去の研究から、反響定位を行わないことが示唆されていたが、茎突舌骨が鼓室小骨と連結していた可能性があるため、今回の知見により、喉頭部で反響定位音を出していたのではないかと考えられる。この知見は、コウモリの初期進化で飛翔および反響定位が始まった時期、およびその起源に関する基本的な疑問を再提起している。今回のデータからは、喉頭部で反響定位音を出すコウモリをそれ以外のコウモリと識別するための、独立した解剖学的特徴も得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る