Letter 医学:全ゲノムRNAiスクリーニングにより同定された、インフルエンザウイルス複製に重要なヒト宿主因子 2010年2月11日 Nature 463, 7282 doi: 10.1038/nature08760 季節的流行および繰り返される世界的大流行の原因となっているA型インフルエンザウイルスは、世界的に公衆衛生上の脅威となっている。突然変異が高率に生じるため、ウイルスのエスケープ変異が起こりやすくなり、ウイルスがコードする標的に対するワクチンおよび薬剤の作用は無効となる可能性がある。これとは対照的に、宿主細胞の因子で、宿主は一時的に必要としないが、ウイルスの複製には非常に重要なものを標的とすれば、ウイルスのエスケープを防ぐことができるだろう。今回我々は、全ゲノムRNA干渉(RNAi)スクリーニングを行い、A型インフルエンザウイルスの複製に影響を与える287個の宿主ヒト細胞遺伝子を見いだしたことを報告する。独立した解析から、168ヒット(59%)が地域的な流行を起こすH1N1株(119ヒット)、または現在世界的な大流行を起こしているブタ由来のA型インフルエンザ株(121ヒット)のいずれかを阻害し、その60%が重複することを確認した。特筆すべきことに、これらの共通ヒットの一部は、非常に病原性の高いH5N1型鳥インフルエンザ株の複製にも必須であった。いくつかの因子を綿密に解析することにより、感染ステージとの関連についての手がかりを得ることができた。また、SON DNA結合タンパク質(SON)は、感染初期にインフルエンザビリオンを後期エンドソームへと正常に輸送するのに重要であることが明らかになったが、これは注目に値する。さらに、CDC様キナーゼ1(CLK1)の低分子阻害剤が、ウイルスM2のメッセンジャーRNAのスプライシング阻害により、インフルエンザウイルスの複製を2桁以上減少させることも示す。加えて、インフルエンザウイルスに感染したp27−/−(cyclin-dependent kinase inhibitor 1B;Cdkn1b)マウスでは、肺内のウイルス力価が大幅に低下したことから、in vivoでのこの遺伝子の重要性が立証された。今回の結果は、ウイルス–宿主間相互作用の詳細な解析や多様なインフルエンザウイルスに対する薬剤標的同定に、全ゲノムRNAスクリーニングを利用できる可能性をはっきり示している。 Full Text PDF 目次へ戻る