Letter 物性:単一成分分子結晶における室温を超える温度での強誘電性 2010年2月11日 Nature 463, 7282 doi: 10.1038/nature08731 強誘電体は、極性の保存・切り替え(強誘電性)、温度変化の検知(焦電性)、電気的機能と機械的機能との相互転換(圧電性)、および光の操作(光学非線形性と電気光学効果を通して)が可能な電子活性材料であり、これらの機能すべてが実用化されている。ケト-エノール変換などの、有機分子におけるπ共役のトポロジー的な切り替えは、これらの現象を分子集合体や分子結晶中で実現する手段として、長く期待されてきた。最近、黒色染料の成分であるクロコン酸が、結晶状態で水素結合をもち、極性構造をとることが明らかになった。今回我々は、電場を印加することによって、光第二高調波発生の増加からわかるように、結晶性クロコン酸の分子極性を一斉にそろえることができ、また室温で明確な分極ヒステリシスが得られることを実証する。我々は、この単純な五角形分子を強誘電体にするために、剛体回転ではなく協同的なプロトン移動を用いて、π結合トポロジーを切り替えた。この分子結晶は分子サイズが小さいにもかかわらず、有機強誘電体の中で最高の自発分極(約20 µC cm−2)を示す。これは、第一原理電子構造計算結果と一致している。そのような高い分極は400 Kまで持続し、そうした性質が、将来の有機電子機器の能動キャパシターや非線形光学素子に応用される可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る