Letter 細胞:セマフォリンとF-アクチンの脱重合を結びつけるMical 2010年2月11日 Nature 463, 7282 doi: 10.1038/nature08724 細胞表面に存在する「有用な合図」が、アクチン細胞骨格に合図どおりの影響を及ぼす仕組みはよくわかっていない。セマフォリンは、このような「有用な合図」となる分子の最大のファミリーの1つであり、細胞運動、進路決定、血管新生、免疫やがんに対する作用が広く研究されている。セマフォリン/コラプシンは、神経突起でアクチン細胞骨格の動態を急激に大きく変化させる能力に基づいてその性質が部分的に説明されていたが、セマフォリン受容体やそのシグナル伝達経路の同定がかなり進んだにもかかわらず、セマフォリンと細胞骨格要素の厳密な制御を結びつける分子は不明のままである。最近、酵素のMicalファミリーに属する極めて特異なタンパク質が、大型の細胞表面セマフォリン受容体であるプレキシンの細胞質内部分と相互作用し、軸索誘導、シナプス形成、樹状突起剪定やほかの細胞の形態変化を仲介することが見いだされている。Mical酵素は、酸化–還元(レドックス)酵素反応を行い、また細胞形態を制御するタンパク質にみられるドメインをもっている。ところが、形態変化の仲介におけるMicalあるいはその酸化還元活性の役割は知られていない。今回我々は、Micalがセマフォリンおよびそのプレキシン受容体と、アクチンフィラメント(F-アクチン)動態の厳密な制御とを直接結びつけることを報告する。Micalは、in vivoでセマフォリン-プレキシンが介在するF-アクチン再編成に必要かつ十分であった。また、Micalタンパク質を精製し、それが直接F-アクチンに結合して個々のアクチンフィラメントおよび束ねられたアクチンフィラメントを脱重合することを見いだした。Micalはまた、その酸化還元活性によりin vivoおよびin vitroでF-アクチンの動態を変化させており、これは特定の酸化還元シグナル伝達現象がアクチン細胞骨格調節にもつ、今まで知られていなかった役割を示している。したがって、Micalは新規のF-アクチン脱重合因子であり、軸索の進路決定などの細胞形態変化の特徴であるアクチン再編成は、Micalを分子導管としてセマフォリンに応答して時空間的に厳密に達成される。 Full Text PDF 目次へ戻る