Letter

医学:インフルエンザウイルスの複製に必要なヒト宿主因子

Nature 463, 7282 doi: 10.1038/nature08699

A型インフルエンザウイルスは、最大11個のタンパク質をコードするRNAウイルスである。しかし、このようにわずかなタンパク質しかコードできないため、このウイルスはその生活環の多くの面で宿主の細胞装置を利用する必要がある。これらの宿主細胞側の要件についての知識から、このウイルスが利用する分子経路についての情報がもたらされるだけでなく、抗ウイルス薬開発に使える可能性のある、さらなる標的も得られる。本論文では、全ゲノムRNA干渉スクリーニングを基盤とする統合システムを用い、インフルエンザウイルス複製の早期に必要な295個の細胞内コファクターを同定する。このグループ内では、キナーゼ調節シグナル伝達、ユビキチン化およびホスファターゼ活性に関与する因子が最も多くみられ、181個の因子が非常に重要な宿主–病原体相互作用ネットワークを構築している。さらに、295個の因子のうち219個は、野生型インフルエンザウイルスの効率的な増殖に必要であることが確認された。また、一部の遺伝子グループのさらなる解析から、液胞型ATPアーゼ(vATPアーゼ)やCOPIタンパク質ファミリーに属する因子、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)タンパク質、およびグリコーゲンシンターゼキナーゼ3(GSK3)-βを含む、23個の因子がウイルス侵入に必要であることが示された。そのうえ、10個のタンパク質が、インフルエンザウイルス複製の侵入後の段階に関与することが確認された。これには、核内輸送因子、プロテアーゼ、およびカルシウム/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼ(CaMキナーゼ)IIβ(CAMK2B)が含まれる。特に、ブタ由来のH1N1インフルエンザウイルスの増殖も、ここで同定された宿主因子に依存していることは注目に値する。また我々は、vATPaseやCAMK2Bを含む、いくつかの因子の低分子阻害剤がインフルエンザウイルスの複製に拮抗することを示す。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度