Article 細胞:血液幹細胞ニッチの老化と若返りを調節する全身性のシグナル 2010年1月28日 Nature 463, 7280 doi: 10.1038/nature08749 多細胞生物の老化では通常、細胞の入れ替わりや修復の過程が徐々に衰え、その結果、筋肉修復効率の低下、骨量の減少、および血液生成(造血)の調節異常などの、いくつかの生理的不全状態が引き起こされる。組織内在性幹細胞の異常は明らかにこれらの表現型に関与しているが、これが、幹細胞の本質的な変化、あるいは幹細胞を支持する微小環境、つまりニッチの老化に伴う変化をどの程度反映しているのかは明らかではない。本論文では、in vivoおよびin vitroの相補的異時性モデルを用いて、幹細胞を支持するニッチ細胞の老化に伴う変化は、造血幹細胞の機能不全を引き起こすことで、正常な造血の脱調節をもたらすことを示す。また、ニッチ細胞の加齢依存的な異常は全身的に調節されており、これは若齢マウス循環系への曝露によって、あるいは、進化の過程で保存されてきた長寿調節因子であるインスリン様増殖因子1の骨髄微小環境内での中和によって、回復できることがわかった。まとめると、これらの結果は、老化に伴う造血機能低下のシグナル伝達に局所および全身性因子が今まで知られていなかった重要な役割をもつことを示しており、また、老齢個体で血液によって運ばれる因子が、局所のニッチ細胞を介して幹細胞機能の加齢依存的障害を引き起こすように機能するという新しいモデルを明らかにしている。 Full Text PDF 目次へ戻る