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遺伝:接合体父親由来ゲノムの脱メチル化におけるエロンゲーター複合体の役割

Nature 463, 7280 doi: 10.1038/nature08732

哺乳類の生活環は、精子が卵に進入したときに始まる。受精直後に、母親および父親由来のゲノムの双方で、生殖細胞の転写プログラムを体細胞のプログラムへと移行させるための劇的な再プログラム化が起こる。この移行の際に生じる分子的現象の1つに、接合体における父親由来ゲノムの脱メチル化がある。多くの努力にもかかわらず、この父親由来DNAの脱メチル化を担う因子は、いまだに明らかにされていない。これらの因子を探索するために、接合体における父親由来DNAのメチル化状態を観察できる生細胞画像化システムを開発した。マウスの接合体に対して低分子干渉RNAを用いた遺伝子ノックダウンを試みた結果、父親由来DNAの脱メチル化には、エロンゲーター複合体の構成因子であるElp3(KAT9ともよばれる)が重要であることを同定した。さらに、レポーター結合、免疫染色、およびバイサルファイト配列解析により、Elp3のノックダウンは父親由来DNAの脱メチル化を阻害することを確認した。エロンゲーター複合体のほかの構成因子(Elp1およびElp4)のノックダウンによっても、同様の結果が得られた。父親由来DNAの脱メチル化は、Elp3ラジカルSAMドメイン変異型をコードするメッセンジャーRNAを受精前のMII期卵母細胞に注入した場合には阻害されたが、HATドメイン変異型では阻害されなかったことは重要であり、脱メチル化過程にSAMラジカルドメインが関与することを示している。今回の結果は、接合体における父親由来ゲノムの脱メチル化にエロンゲーター複合体が果たす極めて重要な役割を立証するだけでなく、脱メチル化の過程は、ラジカルSAMドメインを必要とする反応によって媒介されている可能性を示している。

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