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がん:RasV12scribbledクローンの相互作用が腫瘍の増殖と侵潤を誘発する

Nature 463, 7280 doi: 10.1038/nature08702

ヒトの腫瘍では、細胞レベルと遺伝レベルで高い不均一性がみられる。腫瘍やその微環境における複雑な細胞相互作用は、腫瘍形成やがんの進行に重要な役割をもつと考えられている。また、複数の発がん性遺伝子損傷の間での協調が腫瘍発生に必要とされるが、細胞の相互作用がどのように発がんの協調に関与するのかは、わかっていない。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)で利用可能な遺伝学技術を用いると、異なる変異をもつ細胞の挙動の解析が行えるため、ショウジョウバエは細胞相互作用と発がん協調を研究するうえで理想的なモデル生物である。ショウジョウバエの複眼触角成虫原基において、発がん性タンパク質RasV12と、保存された腫瘍抑制因子scribbledscrib)の機能欠失変異の間の協調作用は、ヒトのがんでみられる多くの特徴を有する転移性腫瘍を生じさせる。本研究では、異なる変異をもつ複数の細胞クローンが、ショウジョウバエでの腫瘍の増殖と浸潤の促進に対して協調的に作用することを示す。RasV12scrib変異がそれぞれ、隣接した異なる上皮細胞に起こった場合でも腫瘍発生が起こりうることを示す。このRasV12scribクローン細胞間の相互作用は、JNKシグナル伝達の亢進と、JNKが誘導するJAK/STAT活性化サイトカインの発現上昇が関係しており、これらは組織恒常性に対する補償的成長機構である。RasV12腫瘍の発生は、JNKシグナル伝達を活性化するストレス状態である組織損傷によっても起こる。本研究で検討した経路は進化的に保存されていることから、ヒトの発がんにおいても同様の協調機構が役割を担っている可能性がある。

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