Letter 発生:DNMT1は自己複製する体細胞組織で前駆細胞機能を維持する 2010年1月28日 Nature 463, 7280 doi: 10.1038/nature08683 前駆細胞は、細胞周期脱出と最終分化を抑制する一方、増殖能を持続させることにより、自己複製する組織を一生を通じて維持する。繰り返される細胞分裂の間、体細胞の前駆細胞状態保持に必要な細胞記憶のためのエピジェネティック機構としては、DNAのメチル化が考えられる。DNAメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)は、細胞複製後のDNAメチル化パターンの維持に働く。胚性幹細胞の維持にDNMT1は必要とされないものの、哺乳類の上皮のように、絶えず補給される体細胞組織での前駆細胞状態の維持におけるDNMT1の役割は不明である。本研究では、DNMT1が上皮前駆細胞機能に必須であることを示す。DNMT1タンパク質は未分化細胞で豊富にみられ、増殖能の保持と分化抑制に必要であることがわかった。組織でDNMT1が欠失すると、前駆細胞区画からの離脱と未成熟な分化が起こり、最終的に組織が欠損する。全ゲノム解析からは、上皮分化遺伝子のプロモーターの重要な領域が、自己複製条件下ではメチル化されているが、その後の分化中にしだいに脱メチル化されることが明らかになった。さらに、DNMT1を半メチル化DNAに誘導するDNAメチル化装置の構成因子UHRF1も、未成熟分化の抑制と増殖の維持に必須である。対照的に、活発なDNA脱メチル化を促進するGadd45AとGadd45Bは、上皮分化遺伝子の完全な誘導に必要とされる。これらの結果は、DNAメチル化パターンの動的調節にかかわるタンパク質が、哺乳類体細胞組織での前駆細胞の維持と自己複製に必要とされることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る