Letter 量子力学:「キックされたコマ」にみられるカオスの量子的特徴 2009年10月8日 Nature 461, 7265 doi: 10.1038/nature08396 カオス的な振る舞いは広範にみられ、科学の多くの分野で重要な役割を演じている。古典物理学では、カオスの特徴は系の時間発展が初期条件に極めて敏感になることである。量子力学では、不確定性原理や、量子状態間の重なりを保つシュレディンガー方程式のために、同じような定義を行うことができない。この基本的な断絶は量子古典対応に難題をもたらし、古典カオスの量子的特徴の探索が長年にわたって行われる動機となった。今回我々は、量子カオスの一般的なパラダイムであるキックされた量子コマを実験によって実現し、古典版のカオスが存在する動力学の量子位相空間において直接観察した結果を示す。我々の系は、単一原子の電子スピンと核スピンの組み合わせに基づくものであり、したがって量子領域の深いところにある。それでも、この量子動力学と古典的な位相空間構造との間にはよい対応がみられた。カオスは本来的に動力学的現象であるため、摂動に敏感であるとか、エントロピーと量子もつれが発生するなど動力学的特徴が特に重要であるが、これらに対しては間接的な証拠しか得られていなかった。カオス領域と規則的で非カオス的な領域において摂動への敏感性に明瞭な違いが観測され、カオスの特徴として動力学量子もつれを示す実験証拠が得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る