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細胞:ヒストン尾部上の2個のアセチル化標識への単一のブロモドメインの協同的結合

Nature 461, 7264 doi: 10.1038/nature08397

クロマチンがかかわる多くの過程の重要な段階の1つが、ブロモドメインやRoyalファミリーのクロモ様ドメインといったエフェクターモジュールによる、ヒストンの翻訳後修飾の認識である。単一の翻訳後修飾のエフェクターによる認識については詳しく調べられて明らかになっているが、複数の修飾を受けたヒストンの組み合わせ的読み取りの機序については、ほとんど解明されていない。機序の1つには、連結されたエフェクターモジュールによる多価結合がかかわっている。例えば、ヒトTATA結合タンパク質関連因子1(TAF1)は、モノアセチル化されたヒストンH4尾部よりもジアセチル化されたH4尾部のほうに強く結合し、これは、それぞれ1個のアセチル化リシン標識に結合するブロモドメインの協同効果の結果と考えられる。今回我々は、マウスのTAF1相同体Brdtでみられる、全く別の組み合わせ的読み取り機構について報告する。BrdtはBETタンパク質ファミリーに属する精巣特異的タンパク質で、高アセチル化されたヒストンH4に結合し、精子完成の際のヒストン高アセチル化後に起こるクロマチンの大規模な再構築にかかわるとされている。これは、減数分裂後の生殖細胞が完全に分化した精子へと成熟する精子完成の一段階である。Brdtの単一のブロモドメイン(BD1)が、2個以上のアセチル化標識をもつヒストンH4尾部の選択的認識を行う役割を担っていることがわかった。ジアセチル化H4尾部に結合したBD1の結晶構造から、2個のアセチル化リシン残基が協同して1個の結合ポケットと相互作用するようすが明らかになった。この構造に基づいて、ジアセチル化尾部に対するBD1の選択性を低下させるような変異導入を行ったところ、in vivoでアセチル化クロマチンとBrdtの結合が不安定になった。構造解析から、酵母Bdf1、ヒトTAF1、ヒトCBP/p300(それぞれCREBBP、EP300ともよばれる)などの、ほかのクロマチン関連タンパク質も同様にしてリガンド認識を行う可能性が示唆される。今回の知見は、1個のエフェクターモジュールがヒストン尾部上の2つの標識を1個の複合的結合エピトープとして認識して結合するという、新しい組み合わせ的読み取り機構を明らかにしている。

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