Article 細胞:タンキラーゼの阻害はアキシンを安定化し、Wntシグナル伝達を阻害する 2009年10月1日 Nature 461, 7264 doi: 10.1038/nature08356 Wnt経路の転写因子β-カテニンの安定性は、多くのサブユニットからなる分解複合体によって厳密に調節されている。Wnt経路の活性の調節異常は多くのがんと関連があるとされていることから、この経路は抗がん療法の格好の標的とされている。しかしながら、Wnt経路を標的とする阻害剤の開発は、低分子での阻害に適した経路構成因子の数が少数であることが妨げとなっていた。今回我々は、化学遺伝学的スクリーニング系を使い、β-カテニンを介した転写を選択的に阻害する低分子XAV939を同定した。XAV939は、分解複合体の濃度制限因子であるアキシンの安定化によって、β-カテニンの分解を促す。定量的な化学プロテオミクス法を用い、XAV939がポリADPリボシル化酵素タンキラーゼ1およびタンキラーゼ2を阻害することによって、アキシンを安定化することがわかった。タンキラーゼのこの2つのアイソフォームは、アキシンの高度に保存されたドメインと相互作用し、ユビキチン-プロテアソーム経路を介するアキシンの分解を促進する。したがって、今回の研究結果は、アキシンタンパク質の恒常性の調節機構を探る新たな手がかりとなり、また、Wnt経路を標的とする治療法に新たな方向性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る