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細胞:霊長類の仔および胚性幹細胞におけるミトコンドリア遺伝子の置換

Nature 461, 7262 doi: 10.1038/nature08368

ミトコンドリアはすべての真核細胞に存在し、独自のゲノム(ミトコンドリアDNA、mtDNAと略記)をもつ。核のゲノムは受精時に卵と精子の双方から受け継がれるのに対し、胚のmtDNAはほぼすべて卵からのみ受け継がれる、つまり母親由来である。mtDNAの変異は、現在治療法のないさまざまなヒト疾患および障害の一因となっている。今回我々は、新規治療法のための前臨床モデルを確立する目的で、非ヒト霊長類であるアカゲザル(Macaca mulatta)の成熟卵母細胞で、一方の卵の紡錘体-染色体複合体を、核を除去しミトコンドリアが十分量存在する他方の卵へ移植することにより、高効率でミトコンドリアゲノムを置換できることを示す。ミトコンドリアの置換によって再構築された卵母細胞は、正常な受精と胚発生を行って健康な仔を生み出すことができた。遺伝子解析の結果、これまでに生まれた3匹の仔の核DNAは紡錘体のドナーに由来するが、mtDNAは細胞質体のドナーに由来することが確認された。仔では紡錘体ドナーのmtDNAの関与は認められなかった。したがって今回の実験は、紡錘体の置換が、新たに作出された胚性幹細胞株でミトコンドリアをすべて置換するための効果的なプロトコルであることを示している。この手法は、mtDNA疾患の家系で疾患遺伝を防ぐための生殖医療的な選択肢となる可能性がある。

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