Letter

気候:完新世に薄くなったグリーンランド氷床

Nature 461, 7262 doi: 10.1038/nature08355

地球温暖化の時代に入るにあたって、グリーンランド氷床(GIS)の安定性は、特にGISの周縁での急速に変化する流れと融解条件の新たな証拠を考慮すると、重要な関心事となっている。過去の気候変化に対するGISの応答を調べることは、GISの動態の解明を進めるのに役立つ可能性がある。GIS氷コアから得られた水中の安定同位体(δ18O)から得られた証拠についてのこれまでの解釈は、GISにおける完新世の気候変動は空間的に異なっており、完新世の安定した気候最適期(多くの北半球の古気候記録でみられる約9,000〜6,000年前の異常に暖かい期間)は存在していなかったというものである。今回我々は、GISの4か所で、グリーンランドの完新世の気温履歴とGIS表面高度の変化の両方を抜き出した。これらは、GIS氷コアのδ18Oと、氷床周縁の小さな氷冠から得られた氷コアのδ18Oとの比較から得られた。氷コアのδ18Oの証拠の従来の解釈とは異なり、今回新たに得られた気温履歴によって、グリーンランドにははっきりとした完新世の気候最適期があり、これはGIS周縁近くが最も薄くなった時期と一致することが明らかになった。我々のδ18Oに基づいた結果は、表面高度の代理指標である氷コアの空気含有量によって裏付けられた。最先端の氷床モデルは一般的に、氷床の広がりおよびGISの高度と面積の範囲と変化を過小評価していることがわかった。今回の知見は、モデルの機能を改善して完新世の気候に対するGISの応答を再現するのに役立つだろう。

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