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遺伝:シロイヌナズナにおけるレトロ転移のエピジェネティックな選択的制御

Nature 461, 7262 doi: 10.1038/nature08328

レトロトランスポゾンは染色体中に存在する可動性遺伝因子で、その活動は主として宿主が制御している。動物や植物では、レトロトランスポゾンはDNAメチル化によって転写が抑制されている。シロイヌナズナでは、DNAメチル化はメチルトランスフェラーゼ1(METHYLTRANSFERASE1;MET1)の働きで、CGジヌクレオチドのところに起こる。しかしmet1変異体では、レトロトランスポゾンの転写が活性化されるにもかかわらず、その移動は観察されない。つまり、転写後に働く機構があって、レトロ転移を防いでいると考えられる。本論文では、met1由来と野生型由来の染色体からなるハイブリッドエピゲノムの同系交配の間に、コピア型レトロトランスポゾンの1つ(Évadé;フランス語の「逃亡者」の意)が転移抑制を受けなくなることを明らかにする。ÉvadéEVD)の再挿入によって種々の発生変異体が生じたため、EVDの性質が同定された。EVDの生活環の宿主による制御を遺伝子レベルで調べたところ、転写抑制はRNA依存性のDNAメチル化によるCGメチル化によって起こっていることがわかった。転写を再活性化しても、EVDの生活環のそれ以降の段階は、植物特異的RNAポリメラーゼIV/VとヒストンメチルトランスフェラーゼKRYPTONITE(KYP)によって阻害される。また、この2つのエピジェネティック機構を働かなくしてから行ったゲノム塩基配列の再解読で、EVDのレトロ転移が実証されたが、活動する可能性のあるそれ以外のレトロ因子の転移は認められなかった。これらの結果は、レトロトランスポゾンのエピジェネティックな制御は転写抑制の段階以降にも及んでおり、しかも特定の因子に個別に作用している可能性を示している。

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