Letter 工学:逆の電荷をもつ液滴の非合体現象 2009年9月17日 Nature 461, 7262 doi: 10.1038/nature08294 電界は、ポリマー溶融物、界面活性剤ミセルやコロイド懸濁液などの多くの流体系に運動を生じさせる。同様に、電界は液滴を動かすためにも使われる。電気的に誘発される液滴運動は、嵐雲形成、商用インクジェット印刷、石油および植物油の脱水、質量分析向けエレクトロスプレーイオン化、エレクトロウェッティング、ラボ・オン・ア・チップ操作など、多様な過程でみられる。実用上の重要な問題は、隣接液滴が合体しやすいことである。互いに逆の電荷をもつ液滴どうしは引力を受け、これが合体に有利に働くと長く考えられてきた。今回我々は、電界には臨界強度が存在しており、電界がこの値を超えると逆の電荷をもつ液滴どうしが合体しなくなることを報告する。適切な位置に置かれた逆の電荷をもつ液滴は、電界を印加すると互いに近づくように移動する。低電界強度では、液滴は予想どおり合体するのに対して、高電界強度では、液滴は接触した後互いに反発し合うのが観察される。定性的には、液滴は互いに「跳ね返し合って」いるようにみえる。跳ね返る液滴の間に一時的に形成されるメニスカス架橋の直接画像化から、この一時的な架橋は臨界強度を超える電界中で形成される場合には、毛管圧に対して不安定になると考えられる。強電界中では、逆の電荷をもつ液滴は合体せず、互いに跳ね返るという観察結果は、脱乳化、エレクトロスプレーイオン化や大気伝導などの、電荷をもつ液滴の関与するあらゆる過程に対する我々の理解に影響を及ぼすだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る