Article 発生:鳥類のZ染色体上遺伝子DMRT1はニワトリで雄の性決定に必要とされる 2009年9月10日 Nature 461, 7261 doi: 10.1038/nature08298 鳥類の性は、哺乳類と同様、染色体依存的であるが、性染色体は異なっており、鳥類の性決定は長年にわたる謎とされてきた。ニワトリをはじめとするすべての鳥類では、同型性が雄(ZZ)で、異型性が雌(ZW)である。鳥類の性決定機構については、2つの仮説が提唱されている。1つは、W(雌)染色体が優性の卵巣決定因子をもつ可能性、もう1つは、Z染色体上にある遺伝子の量が性決定を制御しており、その遺伝子が2倍量発現することが雄(ZZ)の発生に必要とされる可能性である。遺伝子量仮説に基づく鳥類性決定因子の有力な候補は、進化的に保存されたZ染色体上の遺伝子、DMRT1(doublesex and mab-3-related transcription factor 1)である。本研究では、ニワトリの初期胚でDMRT1をノックダウンするために、RNA干渉法(RNAi)を用いた。in ovoでのDMRT1タンパク質発現の減少は、遺伝的には雄(ZZ)である胚で、生殖巣の雌化を引き起こした。実験に用いた雄では、生殖巣の雌化に特徴づけられる部分的な性転換が起こる。雌化した左の生殖巣では、雌様の組織像や異常な精巣索、精巣のマーカーSOX9の減少がみられ、卵巣のマーカーであるアロマターゼが異所的に活性化する。雌化した右の生殖巣では、DMRT1の消失や異所的なアロマターゼの活性化がより不安定であり、左右の生殖巣ではDMRT1への感受性が異なることが示唆される。雌化した雄の生殖巣では、生殖細胞も雌様の分布パターンを示す。これらの結果は、ニワトリでの精巣の決定においてDMRT1が必要であることを示している。我々の結果は、鳥類の性決定におけるZ遺伝子量仮説を支持するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る