Article

細胞:ErbB2は無脊椎動物の自己抑制性上皮増殖因子受容体に類似する

Nature 461, 7261 doi: 10.1038/nature08297

オーファン受容体チロシンキナーゼErbB2(別名HER2あるいはNeu)は、その過剰発現により細胞の形質転換が引き起こされることから、ヒトがんにおける重要な治療標的となっている。構造学的研究から、ErbB2のリガンド非依存的な発がん性のシグナル伝達の特性は、上皮増殖因子(EGF)受容体などの他のヒトErb受容体を自己抑制するために重要な、分子内「繋留索」が細胞外領域から欠失しているために生じることが示唆されている。ErbB2は4つのヒトErbB受容体の中では独特だが、今回我々は、それがショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の唯一のEGF受容体ファミリーメンバー(dEGFR)と構造上もっとも近縁であることを示す。遺伝学的および生化学的データからは、dEGFRが増殖因子リガンドにより厳密に調節されることが示されているが、結晶構造からはdEGFRも、ヒトEGFRや ErbB3およびErbB4にみられる分子内繋留索がないことが明らかである。その代わりに、dEGFRには自己抑制性に働く1組のドメイン間相互作用が別に存在して、リガンドが結合していないdEGFRを不活性状態にとどめている。ErbB2では、こうした相互作用がすべて保持されており、相互作用はさらに拡大してさえいて、ErbB2には自己抑制がないという考えとは一致しない。したがって、正常ならびに病態時のErbB2シグナル伝達は、dEGFRと同様の方法でリガンドにより制御されている可能性が示唆される。以上の結果は、ヒトがんにおけるErbB2調節、ならびにこのオーファン受容体の新たな側面を標的とする治療法の開発に重要なかかわりがある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度