Article 構造生物学:低温電子顕微鏡法によって明らかになった脂質膜中のBKカリウムチャネルの構造 2009年9月10日 Nature 461, 7261 doi: 10.1038/nature08291 構造生物学の念願の目標の1つは、本来の膜環境中にある膜タンパク質の画像化である。この目標は、タンパク質が脂質二重層中で高度に秩序だった配列を形成しているという特別な場合には、電子線結晶学により達成されている。また、大きさが50 kDaまでのタンパク質については、ミリグラムオーダーのタンパク量と同位体による標識化が必要ではあるが、NMR法によっても達成されている。マイクログラムの量が得られる大型の可溶性タンパク質の構造解析では、結晶化を必要としない方法が段々に威力を増してきており、これは極低温に冷却された試料の電子顕微鏡を使った観察(低温電子顕微鏡法、クライオEM)による単粒子解析である。今回我々は、膜タンパク質であるヒトの大コンダクタンス・カルシウムおよび電位依存性カリウムチャネル(BK)の、脂質環境中での初めての単粒子クライオEM研究について報告する。この新しい方法は、ランダム球状制約(random spherically constrained; RSC)単粒子再構成とよばれる。6回膜貫通型イオンチャネル・ファミリーの一員であるBKチャネルは、脂質小胞(リポソーム)中で低密度で再構成され、カリウムフラックスアッセイによりその機能が確認された。また、小胞は非晶質氷中で凍らせて、電子顕微鏡により画像化された。8,400個のタンパク質粒子の画像から、BKチャネルとその膜環境の三次元再構成像が1.7〜2.0 nmの分解能で得られた。結晶形成を必要としないRSC法は、多くの他の膜タンパク質の構造研究においても、同様に有用であると期待できる。 Full Text PDF 目次へ戻る