Letter 海洋:アラビア海における主要な窒素減損過程としての脱窒素作用 2009年9月3日 Nature 461, 7260 doi: 10.1038/nature08276 世界の海洋の半分以上で、一次生産は固定窒素の利用可能性によって制限されている。蓄積された固定窒素からの主要な減損は、従属栄養的な脱窒素作用による窒素ガス(N2)の生産か、最近見いだされた独立栄養過程、すなわち嫌気的アンモニア酸化(アナモックス)である。海洋のN2生産の約35%が海洋の酸素極小層(OMZ)で行われ、その半分までがアラビア海で起こっている。脱窒素作用は唯一の減損要因であると長い間考えられてきたが、OMZではアナモックスだけが固定窒素減損の原因である、と最近主張されるようになってきた。本論文では、熱帯南太平洋東部とアラビア海のOMZ水域において、脱窒素作用速度とアナモックス速度を測定し、脱窒素細菌とアナモックス細菌の量を測定した。世界の海洋で最も広く酸素濃度の低いOMZであるアラビア海では、アナモックスではなく脱窒素作用が、N2減損の支配的な要因であることがわかった。アラビア海における8回の実験のうち7回で、N2の総生産量の87〜99%は脱窒素作用によるものである。脱窒素作用の優位性は、2つの独立な同位体培養法を用いて再現できる。対照的に、熱帯南太平洋東部のOMZでは既に報告されているように、アナモックスが優先していることが、同位体培養法の1つを用いて見いだされた。脱窒素細菌の数はアナモックス細菌より常に多く、熱帯南太平洋東部では最大で7倍、アラビア海では最大で19倍である。炭素供給における地理的および時間的変動が、これらの2つのOMZで脱窒素作用とアナモックスの寄与が異なる原因である可能性がある。アラビア海におけるN2減損に脱窒素作用が大きく寄与していることは、海洋窒素収支に対して脱窒素作用が全球的に重要であることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る