Letter 物理:放射の衝突再分配によるレーザー冷却 2009年9月3日 Nature 461, 7260 doi: 10.1038/nature08203 光放射は物質を冷却するだろうという一般的な考えが提示されたのは、80年前であった。希薄原子ガスのドップラー冷却は、この概念が極めてうまく応用された例である。もっと最近では、多準位系におけるアンチストークス冷却が研究され、固体の光冷却に成功している。放射の衝突再分配は、二準位原子系に関するまた別の冷却メカニズムとして提案されたが、中程度の密度のガスを用いた実験的研究では、その冷却領域には達しなかった。今回我々は、圧力230 barのアルゴン緩衝ガス中のルビジウム原子を用いて、放射の衝突再分配に基づく原子ガスのレーザー冷却を実験的に実証する。超高密度ガス中での頻繁な衝突は、大きく赤方離調したレーザービーム(ずっと低い周波数に離調したレーザー)を過渡的にシフトして共鳴させるが、非摂動原子共鳴周波数付近で自然崩壊が起こる。各励起サイクルの間、kBTのオーダーの運動エネルギー、つまり熱エネルギー(kBはボルツマン定数;Tは温度)が高密度原子サンプルから抽出される。熱的に分離されないサンプルを用いた原理検証実験で、我々は、66 Kの相対的冷却を実証している。冷却されたガスは、ドップラー冷却実験に用いられる典型的な値よりも10桁以上高い密度をもち、冷却能力は87 mWに達する。この技術の将来の応用には、均一核形成温度を超える過冷却や光学的冷却装置が考えられよう。 Full Text PDF 目次へ戻る