Letter がん:骨髄系腫瘍におけるC-CBLがん抑制遺伝子の機能獲得型変異 2009年8月13日 Nature 460, 7257 doi: 10.1038/nature08240 後天性の片親性二倍体(aUPD)は、がんゲノムにしばしば認められる特徴であり、ヘテロ接合性の消失を引き起こす。aUPDは、がん抑制遺伝子の機能喪失型変異だけでなく、がん原遺伝子の機能獲得型変異とも関連している。今回我々は、骨髄増殖性の臨床像を呈する骨髄系腫瘍で認められる第11染色体長腕のaUPDと密接に関連した、C-CBL(CBL)がん抑制遺伝子のユニークな機能獲得型変異を報告する。C-CBLは、v-Cblの細胞相同遺伝子として同定されたがん原遺伝子で、E3ユビキチンリガーゼをコードしており、チロシンキナーゼのシグナル伝達に対して負の制御を行う。C-CBLは、11q-aUPD-陽性の骨髄系腫瘍のほぼ全例でホモ接合性変異を生じていた。C-CBL変異体はNIH3T3細胞で発がん活性を示す一方、野生型のc-Cblは機能的および遺伝的にがん抑制因子として作用することが示された。変異C-CBLはE3ユビキチンリガーゼ活性をもたないばかりか、野生型C-CBLおよびCBL-B(CBLB)のE3ユビキチンリガーゼ活性を阻害し、サイトカイン刺激後のチロシンキナーゼの持続的活性化を引き起こす。c-Cbl−/−の造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)では、c-Cbl+/+のHSPCに比べて多様なサイトカインに対する感受性亢進が認められるが、このサイトカイン感受性亢進は、c-Cbl−/− のHSPCにC-CBL変異体を導入することによってさらに増強され、また、SCF(幹細胞因子、KITLG)、トロンボポエチン(TPO、THPO)、IL3およびFLT3リガンド(FLT3LG)を含む、より多様なサイトカインに対する感受性の亢進が惹起される。こうした結果は、C-CBLの変異が単純な機能喪失ではなく、ある種の機能獲得を伴っていることを示している。C-CBL変異体の機能獲得がHSPCのサイトカイン感受性に及ぼす影響は、これをc-Cbl+/+細胞に導入した場合や、野生型C-CBLと共に発現させた場合にはほぼ消失してしまうことから、C-CBL変異を伴う骨髄系腫瘍の多くで認められる野生型C-CBL対立遺伝子の欠失が、腫瘍の発症に重要であることが示唆される。今回の知見は、aUPDに伴うがん抑制遺伝子の機能獲得型変異がある種の骨髄系腫瘍の発症において果たす役割に対する新たな視点を提供するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る