Letter 発生:始原生殖細胞の発生と生殖細胞悪性腫瘍におけるLin28の役割 2009年8月13日 Nature 460, 7257 doi: 10.1038/nature08210 マウス胚では最初期の始原生殖細胞(PGC)は稀少で、扱いが難しく、生殖細胞運命指定の分子機構の研究を難しくしている。stella(別名Dppa3)は、生殖系列の稀少な創始細胞集団を特徴付けている。本研究では、stella導入遺伝子レポーターをもつマウスの胚性幹細胞を、in vitro でPGCと思われる細胞へ分化させたことを報告する。Stella+細胞は、胚由来のPGCと似た転写プロファイルをもち、in vivoのPGCと同様に、時間依存的にインプリンティングを失う。RNA干渉を用いて、in vitroでのStella+細胞の発生に影響を与える遺伝子候補をスクリーニングしたところ、let-7マイクロRNAプロセシングの負の制御因子であるLin28が、PGCの正常な発生に必須であることを見いだした。さらに、let-7の標的であり、PGC運命指定の主要制御因子であるBlimp1(別名Prdm1)が、PGC発生中のLin28欠失の影響を救済できることを示す。このことから、PGC運命指定におけるLin28の作用機構が明らかとなった。Lin28の過剰発現は、in vitroでのStella+細胞形成やキメラ胚でのPGC形成を促進し、ヒトの生殖細胞腫瘍とも関連する。in vitroでの胚性幹細胞からのPGC候補の分化は、in vivoでの配偶子発生の初期段階を再現し、生殖細胞の発生と悪性腫瘍に関連する新規遺伝子発見に利用しやすいシステムとなる。 Full Text PDF 目次へ戻る