Letter 視覚:硬骨魚の網膜水平細胞に備わる光応答 2009年8月13日 Nature 460, 7257 doi: 10.1038/nature08175 内在性の光感受性をもつ網膜神経節細胞の発見によって、桿体細胞と錐体細胞だけが網膜の光受容細胞だという、長く続いてきた考え方は覆された。内在的光感受性網膜神経節細胞は、メラノプシンを感光色素として用いて、概日周期の光同調などのような、画像形成以外の視覚機能にかかわっている。魚類では、in situハイブリダイゼーションによる研究から、メラノプシンが網膜水平細胞に存在することが示されている。網膜水平細胞は横方向に結合したニューロンであり、視覚ニューロンでの中心-周辺受容野を形成するのに不可欠である。このことから、魚類の水平細胞が内在的な光感受性をもつかどうかという疑問が生じる。この問題はこれまでに、平置きして測定されたモロコ網膜で調べられているが、シナプス伝達を阻害した後は水平細胞のすべての光応答が消失してしまい、何らかの結論を得ることは困難であった。この問題を直接調べるために、今回我々は、ナマズとキンギョから急性分離した単一の水平細胞を調べた。ナマズの錐体水平細胞では、ニフェジピン感受性の電位依存性カルシウム電流の調節という光応答が起こるが、桿体水平細胞では起こらないことを見いだした。この光応答は極端に遅く、何分間も続いた。同様の光応答が、キンギョの水平細胞でも高い割合で観察された。ナマズから2種類のメラノプシン遺伝子と1種類の脊椎動物古代(VA)オプシン遺伝子をクローン化して、in situハイブリダイゼーションを行ったところ、ナマズ網膜の水平細胞層ではメラノプシンが発現していたが、VAオプシンは発現していそうもないことが判明した。この内在的光応答が、これらの細胞がかかわる側方抑制を、長い時間スケールで調節している可能性がある。したがって、少なくとも一部の脊椎動物には網膜の画像形成機能に主としてかかわる非桿体/非錐体光受容細胞が存在する。 Full Text PDF 目次へ戻る