Letter 環境:先カンブリア時代末期の地球の緑化 2009年8月6日 Nature 460, 7256 doi: 10.1038/nature08213 炭素循環の局面の多くは、海洋の重炭酸塩の13C/12C比の時間的変化によって評価できる。13C/12Cは、13Cの少ない光合成有機産物が大量に速い速度で埋もれると一時的に上昇し、ファイトマスが急速に酸化されたり、13Cの少ない炭素がメタンクラスレートから急速に放出されたりすると低下することがある。海洋の13C/12C比の変動は炭酸塩岩に直接記録されると考えられたことで、先カンブリア時代末期の標本の炭素同位体分析結果が多数発表された。これにより、ほかの方法では年代が特定されないこのような層の相互関係が明らかにされるとともに、後生動物の爆発的急増の直前に生じた炭素循環の変動が立証されている。新原生代の炭酸塩の一部にみられる低い13C/12C比は、先カンブリア時代に特有の炭素循環の変動を示す証拠と考えられている。これには、海洋の全有機物の完全な酸化、および13C/12Cの低い熱水CO2が主要な炭素源となることにつながった完全な生産力崩壊とがかかわっていた。今回我々は、新原生代の海洋炭酸塩の酸素同位体と炭素同位体に関して発表されているデータをすべて収集し、初期沈殿物から石灰岩/苦灰岩への変成の間に同位体組成を変化させることが知られている過程に照らして、それらを検討した。その結果、酸素同位体組成と炭素同位体組成の組み合わせは、よく研究されている顕生代の標本と一致することが明らかになった。この顕生代の標本は、陸上のファイトマスに由来する光合成で作られた炭素が、地下水によって大規模に流入していた沿岸の間隙水中で石化したものである。広く報告されている新原生代の炭酸塩における13C/12C比の低下は、炭素循環の変動ではなく、顕生代の標本と同じように解釈するほうが無理がない。この陸上炭素の流入は約850 Myr以上前の炭酸塩には認められず、先カンブリア時代末期の地表に光合成を行う生物集団が爆発的に急増したと推測される。その結果、風化作用を生物が助けて炭素を含む土壌が大規模に形成され、その砕屑堆積作用で炭素が隔離された。これが、多細胞生物の爆発的急増に必要なO2の増加を促進した。 Full Text PDF 目次へ戻る