Letter

細胞:ヒト病原体Leptospira interrogansのプロテオーム全体の細胞のタンパク質濃度

Nature 460, 7256 doi: 10.1038/nature08184

相対的なプロテオーム定量化のための質量分析法に基づく手法は、生命科学研究に広く影響を及ぼしている。しかし、重要な研究分野、特に数学的モデル化や生物過程のシミュレーションに関係する分野も、絶対定量化データ(発現タンパク質濃度を細胞状態の関数として知ること)に大きく依存している。今までのところ、得られたプロテオームのかなりの割合(73%)のタンパク質絶対濃度が求められているのは、遺伝的に改変された出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)だけであり、この方法は酵母以外の生物種への直接応用が不可能である。今回我々は、遺伝的に操作されていない細胞のプロテオームの大部分に対して、絶対量、すなわち、1つの細胞集団内における細胞当たりのタンパク質コピー数の平均を決定するための質量分析法に基づく方法を示す。この方法をレプトスピラ症の原因スピロヘータであるヒト病原体Leptospira interrogansに適用して、異なった状態の細胞から質量分析法で検出可能なプロテオームの83%に対して、タンパク質の絶対存在量尺度を作出した。また、L. interrogansの独特な細胞形態がもつ利点を生かした極低温電子線トモグラフィーによる形態測定を用いて、1つの細胞集団で質量分析法によって求めた特定のタンパク質群の平均絶対存在量を単一細胞レベルで検証した。この方法は比較的時間がかからず、どんな細胞種にも適用可能なので、定量生物学やシステム生物学の基礎となると考えられる。

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