Letter 発生:ショウジョウバエの眼ではFGFシグナル伝達の切り替えがグリア分化を開始させる 2009年8月6日 Nature 460, 7256 doi: 10.1038/nature08167 複雑な神経系の形成には、ニューロンとグリア細胞の込み入った相互作用が必要である。グリア細胞は通常、分化を開始する前に長い距離を移動し、これにより軸索突起が包み込まれ、絶縁される。グリア細胞の移動から分化への切り替えを制御する分子経路は、ほとんどわかっていない。本研究では、ショウジョウバエ(Drosophila)の複眼成虫原基で、繊維芽細胞増殖因子(FGF)シグナル伝達が、グリアの増殖と移動、その後の軸索の包み込みを制御していることを示す。ショウジョウバエ複眼原基でのグリアの分化には、グリアどうしの相互作用に続いて、グリアとニューロン間の相互作用が起こることが必要である。ショウジョウバエの複眼でニューロンとなる細胞は複眼原基内の末梢神経系で生じるが、グリア細胞は中枢神経系由来の前駆細胞プールから生じ、複眼原基へ移動する。当初はグリア由来のPyramus(FGF8様リガンド)が、グリア細胞の数と移動性を制御する。次に、ニューロンが発現するThisbe(もう1つのFGF8様リガンド)による制御に切り替わり、それに続いてグリア分化が誘導される。この切り替えは、FGF受容体が細胞内へ情報を伝達する細胞内シグナル伝達経路の変更と共に起こる。我々の知見は、グリアどうしの相互作用からグリア-ニューロン間相互作用へ切り替えが、軸索軌道の周辺にグリア膜の形成を誘導し得る仕組みを示している。これらの結果は、軸索の被覆に関する進化的に保存された制御機構を明らかにしており、ショウジョウバエがヒトのグリア性疾患解明のためのモデルとなりうることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る