Letter 発生:成体の筋サテライト細胞と胚の筋肉前駆細胞では遺伝学的必要条件が異なる 2009年7月30日 Nature 460, 7255 doi: 10.1038/nature08209 哺乳類の筋前駆細胞の筋形成能および生存と増殖は、胚期には筋形成決定因子Pax3とPax7に依存し、周産期にはPax7のみに依存する。成体の筋幹細胞(サテライト細胞)でも、これらの作用にPax7が必須の役割をもつことが複数のin vitro研究によって裏付けられているが、in vivoでのきちんとした証明はまだない。本研究では、前脛骨筋の再生モデルで誘導型Cre/loxPを用いた細胞系譜の追跡と条件的遺伝子不活性化を行い、Pax7を成体マウスで不活性化させても、変異サテライト細胞の筋再生は損なわれず、こうした細胞は増殖して基底膜直下のサテライトのニッチを再び占めること、またその後の再生過程にも対応可能であるという予想外の結果を示す。成体でPax3とPax7の両方を不活性化しても、正常な筋再生が起こる。遺伝子不活性化をさまざまなタイミングで誘導したところ、Pax7が必要とされるのは前駆細胞が静止期へ移行する幼年期までだけであることが示された。さらに、新生仔の前駆細胞と成体のサテライト細胞の間には、Pax7への依存性に細胞固有の違いがあることを示す。筋幹細胞の遺伝学的必要条件に加齢依存的な変化があるという今回の発見は、胚の研究結果を成体の幹細胞の生物学的性質に当てはめて考えることを戒めており、年齢が離れたホスト由来の幹細胞の移植治療における使用に直接的なかかわりがある。 Full Text PDF 目次へ戻る