Letter 生理:加齢期のラパマイシンの摂取は、遺伝的に多様なマウスの寿命を延長させる 2009年7月16日 Nature 460, 7253 doi: 10.1038/nature08221 酵母、線虫、ショウジョウバエをはじめとする無脊椎動物では、TORシグナル伝達経路を遺伝的または薬理的に阻害すると寿命が延長する。しかし、哺乳類でもmTORシグナル伝達経路の阻害によって寿命が延長するかどうかは、明らかにされていない。今回我々は、mTOR経路阻害剤であるラパマイシンは、マウスに600日齢から摂取させると、雌雄どちらのマウスでも寿命の中央値および最大値が延長することを報告する。死亡率が90%となる日齢を基にして、ラパマイシンは雌で14%、雄で9%寿命を延長させた。疾患感受性に対する遺伝子型特異的な影響を回避するために、遺伝的に多様なマウスを対象として、異なる3つの機関で研究は行われたが、いずれにおいてもこの効果は認められた。ラパマイシン投与マウスと対照群のマウスの間には、疾患パターンに相違はみられなかった。別の研究で、マウスに270日齢からラパマイシンを摂取させた場合には、雌雄どちらのマウスでも、生存期間中央値付近で行なった中間解析に基づき、生存期間が延長することがわかった。ラパマイシンは、がんによる死亡を延期させる、または(および)老化機構を遅らせることによって寿命を延長させると考えられる。本論文は、哺乳類の寿命の制御にmTORのシグナル伝達経路が果たす役割を示すとともに、薬物によって雌雄双方の寿命が延長することを証明した、我々の知るかぎり初めて研究結果である。今回得られた知見は、加齢関連疾患の治療および予防を目的とした、mTORを標的とする治療介入を開発するうえで重要なものとなるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る