Letter

気候:氷期の気候の調整機構となる亜熱帯前線の移動

Nature 460, 7253 doi: 10.1038/nature08189

南極氷床を掘削して得られた氷床コアは、氷河の状態、また同位体から得られた気温と大気pCO2との関係が、更新世後期の最後の80万年間にわたって一定であったことを示唆している。しかし、北半球の氷床面積、海水準や他の気温記録などの、氷床コアとは無関係の一連の証拠は、特に、340,000〜420,000年前辺りのより極端な亜氷期(海洋同位体ステージ10と12)に、氷期の厳しさが変動したことを示している。したがって、これまでに確認されていない機構により、日射、CO2、気候の関係が調節されていたと考えられる。本論文では、南アフリカ南東沿岸沖での亜熱帯前線(STF)の北向き移動が、インド太平洋から大西洋への熱と塩類の輸送を制御しているアガラス海流の調整機構として、働いているかどうかを検証する。海洋堆積物コアMD962077から得られた、海面温度と海洋生産性の80,000年にわたる新たな記録を用いて、低温の亜氷期(特に、海洋同位体ステージ10と12)に生産性が最も高くなり、海面温度は現代の温度より最大6°C低かったことを示す。このことから、これらのより寒冷な亜氷期には、STFは緯度で最大7°北向きに動き、アガラス海流をほぼ止めていたと示唆される。我々の結果を、南大西洋の動物群と組み合わせると、南半球STFの変わりやすい北向き移動が、大西洋の南北方向鉛直循環へ熱と塩類を運ぶアガラス海流の強さを変え、それによって各氷期の厳しさが変化しうることが示される。したがって、STFの北向き移動の程度が、大気の二酸化炭素分圧pCO2と全球気候の結合を部分的に解除させることができ、大気のpCO2が変わらない範囲内で、氷期の振幅が異なっていたという、長年にわたる難題を解決するのに役立つことが示される。

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