Letter 生理:NAADPは酸性の細胞小器官からtwo-pore型チャネルを介してカルシウムを動員する 2009年5月28日 Nature 459, 7246 doi: 10.1038/nature08030 細胞内貯蔵庫からのCa2+動員は、重要な細胞内シグナル伝達過程であり、哺乳類の細胞ではイノシトール1,4,5-トリスリン酸(InsP3)、サイクリックADPリボースとニコチン酸アデニンジヌクレオチドリン酸(NAADP)によって調節されている。InsP3とサイクリックADPリボースは、InsP3受容体(InsP3R)とリアノジン受容体(RyR)を活性化することにより、筋小胞体/小胞体に貯蔵されたCa2+の放出を引き起こす。対照的に、NAADPの標的となる細胞内貯蔵庫の性質やNAADP受容体の分子実体は明らかではないが、NAADPがリソソーム関連酸性区画からのCa2+を動員するという証拠がある。今回我々は、two-pore型チャネル(TPC)がNAADP受容体ファミリーを形成し、HEK293細胞で発現させた場合、ヒトTPC1(別名TPCN1)とニワトリのTPC3(TPCN3)はエンドソーム膜に、ヒトTPC2(TPCN2)はリソソーム膜に発現することを示す。TPC2が豊富に存在する膜では、高い親和性でのNAADP結合がみられる。TPC2はリソソーム関連貯蔵庫からのNAADP誘発性Ca2+放出をもたらし、これは続いて起こるInsP3RによるCa2+誘導性Ca2+放出によって増幅される。NAADPに対する応答は、リソソームのプロトン勾配の破壊やTPC2発現の消失によって消滅するが、小胞体Ca2+貯蔵庫の枯渇あるいはInsP3Rの遮断ではわずかに低減するだけである。したがって、TPCは酸性の細胞小器官からCa2+を放出させるNAADP受容体を形成し、これにより筋小胞体/小胞体を介したさらなるCa2+シグナル伝達が引き起こされる。したがって、動物細胞のCa2+シグナル伝達機構に関する新たな手がかりがTPCから得られ、NAADPの生理的役割の解明がさらに進むだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る